高どまる銅価格
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銅価格が高値圏で推移しています。
実際直近のLME銅3カ月物は1万ドル前後で推移していて、8月22日は9,726ドル/トン、8月26日は9,797ドル/トンをつけました。
現行の銅価格の高騰要因には米国の関税政策があります。
米国政府は銅の半製品・銅集約的派生製品にたいして、50%の関税を示しました。一方で原料となる鉱石やカソード等は関税の対象外となりました。これにより春先に広がっていた米国内の駆け込みの動きは収束に向かい、米先物のプレミアムも大幅に縮小しました。
しかし、軟調に向かうと考えられていた相場は未だ高止まりにあります。
この原因として供給が需要に追い付いていないことが挙げられています。
この供給不足の要因のひとつに鉱山リスクの顕在化があります。
25年7月末チリのエル・テニエンテで坑道崩落事故が発生しました。この事故で作業員6名が死亡し、エル・テニエンテは鉱山の操業を停止しました。現在では一部操業が再開されていますが、この一時的な操業停止によって、同鉱山では大きな生産損失が見込まれています。
大規模坑内鉱に内在している地質・安全リスクは、短期の供給を揺さぶる要因である、と改めて示されることになりました。
さらに、パナマのコブレ・パナマ銅鉱山では環境破壊問題と鉱業コンセッション契約が違憲と判断されて以降、2025年8月現在も操業停止が継続しています。同鉱山からの出荷は2025年5月、採掘済みの12万トン以上の銅精鉱の限定輸出を認められたのみで、供給制約は継続しています。同鉱山での生産は世界の生産量の約1%超を担っていたため、この操業停止の長期化が供給力のひっ迫感をより強める方向に働いていると考えられます。
こうした供給サイドの揺らぎは、製錬サイドの収益圧迫にも影響しています。供給リスクの他にも、データセンターやEVによる堅調な需要の拡大を受け、原料交渉力は鉱山側に傾いています。この結果として、精錬サイドの原価率が上がり、収益は圧迫されています。
JX金属は減産の検討とリサイクル比率の引き上げを公表しました。三菱マテリアルも小名浜での精鉱処理縮小の検討を明らかにしています。市況は高くても、製錬各社も自動的に恩恵を受けられていないのが現状です。
こういった構造的な問題が解消されない限り「押し目はあっても高値圏に戻りやすい」地合いは、今後も続きやすいのではないかと考えられています。